【ぼくたちの離婚 Vol.16 因果応報なき世界 #2】 映像関係の会社に勤める筒本望さん(仮名/43歳)は、30歳の時に亜子さん(仮名/当時27歳)と出会う。パニック障害を患う亜子さんは結婚後に仕事を辞め、その後浮気に走るが、「あなたに離婚されたら死ぬ」と錯乱(詳しくは前編「「妻が風呂に有毒ガスを…」殺しあう寸前までいった夫婦の悲劇」を参照)。意を決した筒本さんは弁護士に相談した。 「弁護士に、どうやったらこのヤバい奴と手が切れるのかを教えてくださいと、単刀直入に言いました。自分の保身が第一です。……卑怯とでもなんとでも、言ってください」 筆者が「保身とは……」と質問しかけると、筒本さんは食い気味に答えた。 「もし配偶者に自死されたら超面倒でしょ? 自死しないにしても、病気に苦しむ人間を見放したら見放したで、世間から責められるのも、良心の呵責に苦しむのも、僕です。どっちにしろ僕が損する。