死ぬとか死なないとか口走ったりすることには、たぶんちょっとした冒険気分と快楽と、そして安心感がついてまわるんだろう。ああぼくだって、世の中にはほんとうに、死んだほうがよっぽどましなほど劣悪で悲惨な状況に置かれている人がいるのは知っている。ほんとうにバランスがとれなくて、目をはなしたらすぐに首をくくりかねない人がいるのも知っている。そういう人たちはまた話が別だ。でも今回のぼくの話は(そして今回の別冊宝島がたぶん念頭においているのは)、そういう切実な人たちの話じゃない。むしろそういう切実な人たちに対する社会の反応を見て、それと適当に戯れることでなにか達成感を得ている、そういう人たちの話だ。 そういう人たちだって、自分ではそれなりに切実なつもりなんだろう。そして本人が切実なつもりである以上、それは切実以外のなにものでもないんだろう。ただぼくには、そういう人たちの一部がいかにもお気楽に見えるし、と