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ブックマーク / owlman.hateblo.jp (6)

  • 冬に読みたい海外文学20冊 - ボヘミアの海岸線

    雨が降ると地面が凍えたように青くなる季節になった。わたしは冬に鍋をするのが好きだが、それ以上にアイスクリームをべるのが好きだ。寒い冬にあえてもっと寒いことをするのが好きなのである。 というわけで、寒い土地の冬を描いた海外文学リストである。セレクトのテーマは「冬の厳しさと美しさ」(このテーマで選ぶと、なぜかロシアが入らなかった)。ぬくぬくとした部屋で、スープをすすりながら、のんべんだらりと読みたい(2019年1月更新)。 カナダ、ケープ・ブレトン島の厳冬を描く。透きとおるように寒い、流氷のような世界と、人間の悲哀と誇りが結晶のようにきらめく。当にどれもよくて参る。 デンマーク文学。掟と抑圧に抗おうとする人たちの物語。冬の終わりのヴィジョンが鮮烈な「ペーターとローサ」のラスト1ページがすさまじいので、まずはこれだけでも読んでほしい。 アメリカのシカゴに住む移民たちの短編集。「冬のショパン」

  • 『アメリカ大陸のナチ文学』ロベルト・ボラーニョ|継承されたナチズム - ボヘミアの海岸線

    その教訓は明白だ。民主主義の息の根を止めなければならない。なぜナチはあれほど長生きなのか。たとえばヘスだが、自殺しなければ、百歳まで生きただろう。何が彼らをあれほど生きながらえさせるのか。何が彼らを不死に近い存在にしてしまうのか。流された血? 聖書の飛行? 跳躍した意識? ーーロベルト・ボラーニョ『アメリカ大陸のナチ文学』 繼承されたナチズムギリシャのアテネに滞在中、厳戒態勢に遭遇したことがある。町の中央にあるシンタグマ広場に向かおうとしたが何度試しても鉄道が駅を通過してしまう。駅員に理由を尋ねても「Go home. Go home」と地球外生命体のように繰り返すばかりなのでTwitterで検索してみたところ、極右政党「黄金の夜明け」の信望者が対立者と衝突を起こし、爆発事件を起こし、広場が路上も地下鉄も完全封鎖されていることを知った。 「黄金の夜明け」はネオナチ政党とも呼ばれ、強烈なナショ

    『アメリカ大陸のナチ文学』ロベルト・ボラーニョ|継承されたナチズム - ボヘミアの海岸線
  • なぜ世界文学は売れないのか? もうすぐ絶滅するという海外文学について - ボヘミアの海岸線

    世界文学が読まれない、売れない、翻訳できない 『絶望名人カフカの人生論』の著者、頭木弘樹さん(@kafka_kashiragi)が「海外文学の翻訳が売れないから、翻訳できなくなってきている」というつぶやきが3000RTを超えた。 https://twitter.com/kafka_kashiragi/status/534536316197679104:title#怖ろしい話を聞いた…。海外文学の翻訳は、初版1500部とか、初版印税ナシが普通になってきているという。増刷はなかなかされないだろうから、初版印税ナシだと、実質、無報酬に。初版1500部でも、生活はとてもできない。これでは翻訳をする人はいなくなってしまう。したくても生活できない。 「印税と翻訳料の違い」(わたしの周囲は若手が多いためか無報酬の話が多く、あっても微々たるものだろうが)や「業界全体の話なのかどうか」「そもそも当の話なの

    なぜ世界文学は売れないのか? もうすぐ絶滅するという海外文学について - ボヘミアの海岸線
    shimomurayoshiko
    shimomurayoshiko 2014/11/19
    ケリー・リンクとかエイミー・ベンダーなんかどうよ。最近、でもないがロン・カリー・ジュニア『神は死んだ』とかも個人的には好き。
  • 『夜毎に石の橋の下で』レオ・ペルッツ - ボヘミアの海岸線

    一同が静まったところで高徳のラビは告げた。汝らのうちに、姦通の罪を負って生きる女、呪われた一族、主によって滅ぼされた一族の子がいる。罪人に告ぐ、進み出で己が罪を告白し、主の裁きを受けるがよい。――レオ・ペルッツ『夜毎に石の橋の下で』 プラハの魔法陣 ナスカの地上絵は、地上から見ればただの直線、意味をなさない溝でしかない。だが、もしナスカ人に首根っこをつかまれて上空数千メートルにまで放り上げられたら、巨大なコンドルや猿の姿に息をのむだろう。 『夜毎に石の橋の下で』でも同じことが起きた。読み終わった瞬間、眼前に広がったのは巨大なプラハの魔法陣だった。読んでいる最中は地面を歩いていたのに、最後の最後でぽーんと放り上げられる。 夜毎に石の橋の下で 作者: レオ・ペルッツ,垂野創一郎出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2012/07/25メディア: 単行購入: 5人 クリック: 222回この商

    『夜毎に石の橋の下で』レオ・ペルッツ - ボヘミアの海岸線
  • 海外文学死亡かるた - ボヘミアの海岸線

    デザイナー死亡かるた 死亡かるたまとめ なんだか都ではやっているようなので、神保町古祭りを記念して。 ジンをあおりながら適当に作ったものです。なんかいいネタございましたら追加しますので、Twitter(@0wl_man)宛かハッシュタグ(#海外文学死亡かるた)でご連絡ください。 #海外文学死亡かるた まとめ(Togetter) あ:あのとき買っておけば い:岩波文庫の復刊待ち う:売れ残りがどこかの書店にあるかもしれない え:英訳しかない お:オースターってヴィレバンが勧めてた作家だよね か:完訳版が出ると聞いて数年が経った き:記憶の中では買った く:クノー全集を予約すると「百兆の詩篇」がついてきます け:原文で読もうよ こ:「今年中」が「来年には」 さ:3000部 し:柴田元幸が絶賛 す:すみません、在庫が切れました せ:絶版です そ:増刷の予定はありません た:断裁処分されたと聞い

    海外文学死亡かるた - ボヘミアの海岸線
    shimomurayoshiko
    shimomurayoshiko 2012/10/30
    “い:岩波文庫の復刊待ち”“ち:ちくま文庫で出た”“ふ:文庫でなんで読まないの?”5000円以上とかみると全身かきむしって「薄いくせによォー!?(or無駄に厚いんだよォー!?)」と叫びたくなる
  • 『野性の蜜 キローガ短編集成』オラシオ・キローガ - ボヘミアの海岸線

    「これは蜜だ」体の奥から欲が涌きあがってくるのを感じながら、公認会計士は独りごちた。「蜜のいっぱい詰まった、蜂の巣房に違いない……」――オラシオ・キローガ「野性の蜜」 飲み干す死 作家が死をどうとらえ、どう描くかが気にかかる。シェイクスピアはしゃれこうべになればみな同じと語り、ハイヤームは土に還るまでぞんぶんに酒を飲めとうたい、ボルヘスは死を無限の彼方に隠した。 ウルグアイにうまれ、アルゼンチンを終のすみかとしたオラシオ・キローガは、「死の作家」との異名を持つ。彼は、すべての最終点、逃れられない結末として死を描く。死は病院や壁の向こう側に切り離されたものではなく、姿見にうつるおのれの姿のように、日々の生活の中にくりかえし立ちあらわれる存在だ。事実、キローガのまわりには死があふれていたようで、両親、友人、子供がそのほとんどが事故死・自殺を遂げている。書におさめられた短編30編あまりの

    『野性の蜜 キローガ短編集成』オラシオ・キローガ - ボヘミアの海岸線
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