前回は、上海にある“日本の80年代”的な場所を訪ね歩いてみた。巨大な屋内スキー場など、いかにもバブリーなスポットだった。 象徴的な場所を押さえると、確かに話はわかりやすい。だが、「上海マーケティングツアー」のガイド役としては、もっと人間寄りの日常的な風景から時代の気分を感じ取ってみたい。そこで、今回は上海人がたしなみ始めた趣味の世界を覗くことにする。人が何かに夢中になってる姿というのは素直な気持ちが見えやすいから。彼らの“80年代”的世界とぼくらのそれのどこが似て、どこが違うのか。そんなこともミクロな視点で考えてみたい。 こんなエピソードから始めよう。昨年の夏、上海の街角で偶然見かけたものだ。 路上に人が群がっていた。上海では道端の口ゲンカや交通事故なんて日常茶飯の話。彼らの流儀は口論しても手は出さないことだ。審判の判定に抗議するサッカー選手みたいに、顔を突き合わせ、ののしりあう光景がよく
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