「自転車通勤や通学が増えるに違いない」。予感は的中した。 東日本大震災から3日後の3月14日、東京都杉並区のNPO法人「自転車活用推進研究会」理事長の小林成基さん(62)は、近くの「五日市街道」(都道)を走る自転車を数えた。震災前の昨年11月16日は午前7~8時に105台だったのに、この日は同じ時間帯で243台と2倍以上に増えていた。その後、さらに3月23日には321台と3倍を超え、4月18日には418台と4倍近くに達した。 05年7月、ロンドンで地下鉄などが同時に爆破されたテロの直後、現地を訪れた小林さんは、自転車通勤の会社員が激増するのを目の当たりにした。地下鉄の運転再開を翌日に控えたニュース番組の街頭インタビューで、スーツにリュック姿の男性は「もう、あのラッシュには戻らない」と断言していた。 小林さんは思う。「英国でも日本でも不幸な出来事がきっかけとなってしまったが、条件さえ整えばエ