元・天才美少女作家である少年『ぼく』は、文芸部の先輩にして紙に書かれた物語をむしゃむしゃと食べてしまう妖怪でもある〝文学少女〟のために日々おやつを書いている。ただ平凡に生きていくことを望む『ぼく』はマイペースな〝文学少女〟に振り回されっぱなし。ドジな少女の持ち込んできたラブレター代筆の依頼も、〝文学少女〟の一存で『ぼく』が引き受ける羽目になってしまう。けれどもやがて、そのラブレターの受取人が話に聞いていた弓道部にも、さらには学校にも在籍していないことが明らかになり、『ぼく』と〝文学少女〟は『死にたがりの道化』をめぐる謎へと巻き込まれていくことになる。 太宰治著『人間失格』をモチーフとした物語であるというところに興味を惹かれ、《ミステリアス学園コメディー》と銘打たれた本書を読んでみることにした。文学好きの人間にとって、こういう仕掛けはなんとなく楽しいものに思われる。 しかし実際読んでみて一番