いざという時のためのマタニティマークなのに、あえて付けない妊婦さんが増えている(写真:ロイター/アフロ) 9年前、私が妊婦になった頃は、まだ知らない人の方が多かったマタニティマーク。その後、認知度は上がり、見知らぬ人が電車内で席を譲ってくれることもあると聞いていたのだが、最近その状況は大きく変わっている。 認知度が高まったことにより、妊婦さんたちは「妊婦だと知られることが怖くて、安易には付けられない」というのだ。 Twitterのまとめサイトには、妊婦だということで『故意に足をかけられた』『お腹を殴られた』『ホームに突き落とされた』と、信じられないようなコメントが並ぶ。そのほとんどが、誰もが乗る公共交通機関での出来事だ。 このような話は、1年ほど前から聞いてはいたのだが、ごく一部の人が経験したことがSNSで大きく広がっているだけだと思っていた。しかし、少なくとも首都圏においては、そうではな
筆者のように学術情報の動向そのものに興味を持っている者の間では有名な「リトラクションウォッチ (retraction watch)」というウェブサイトがあります。文字通り、学術論文が「撤回」されると、その理由や経緯などを報告する記事が掲載されるメディアです。 いちど掲載された論文が撤回されるということは、もちろんその論文に何らかの問題があることが見つかったということです。こうした 論文撤回 がニュースになるのは、理科系のジャーナル(学術雑誌)でのことがほとんどなのですが、2016年4月7日付の同誌は、哲学のジャーナルである論文が撤回されたことを伝えました。 哲学者アラン・バディウについての研究論文を掲載するジャーナル『バディウ・スタディーズ』は昨年秋、「クィア・バディウ主義フェミニズムに向けて」という特集のための論文を募集しました。アラン・バディウはフランスの有名な哲学者で、日本語に翻訳さ
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