コロナ禍のいま、珍しい光景がアメリカの病院で広まっている──患者たちが「うつ伏せ」で寝ているのだ。 ふつう、入院患者は仰向けでベッドに横たわる。仰向けは、医療スタッフが患者の世話をしやすく、患者自身も周りを見ることができる姿勢だ。 しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者には、肺に異常を来すケースが多く見られる。ウイルスによって肺が炎症を起こしたり、肺の中に水分が異常に溜まってしまうことで、呼吸が苦しくなってしまうのだ。 ニューヨークのアルベルト・アインシュタイン医学校で、呼吸器学と救急医療学のチーフを務めるミシェル・ン・ゴン医師が米紙「ニューヨーク・タイムズ」に語ったところによると、患者が仰向けで寝た場合、心臓が肺の上にのり、肺をさらに圧迫してしまうという。 そこで期待されているのが、患者をうつ伏せにする「プロニング」と呼ばれる方法だ。うつ伏せになることで、肺にかかる心