母親が育児を放棄した末、大阪市西区のマンションで幼い姉弟が亡くなった事件。多くの住民が異変に気づきながら、児童相談所(児相)に通報したのは1人だけだった。複数の人が通報していれば、児相の危機感も強まったかもしれない。なぜ通報をためらったのか。子どもの泣き声が繰り返し聞こえてきたら、どうすればいいのだろう。 激しい夜泣き、「ママーっ」と泣き叫ぶ声――。 姉弟の遺体が見つかったマンションは11階建て(約80戸)。朝日新聞の取材では、10人以上の住民が子どもの泣き声を聞いていた。 「虐待かも知れない」。アルバイト女性(21)は職場で同僚に相談したことがあった。通報を勧められたが、「間違いで(親に)気分を害されたら嫌だなと思った。どこに通報すればいいのかも分からなかった」。 この女性によると、泣き声が気になり出したのは5月ごろ。「ギャー」と泣き叫ぶような甲高い声で時々、「ママーっ、ママーっ