国による住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)を使った「共通番号制度」の導入が現実味を帯びるなか、全国で2市町だけ住基ネットから離脱を続けている東京都国立市と福島県矢祭町が揺れている。健康保険や年金も管理する制度になれば、離脱が住民の不利益を増大させる恐れがある。今国会には、国が「違法」な事務処理を続ける自治体を提訴できる法案も提出される見通しで、統一地方選を前に大きな議論を呼んでいる。 「戦前のような中央集権国家をつくろうとしているのか」――。国立市の関口博市長(56)は不快感をあらわにしている。政府の地方自治法改正案では、国が是正を求めても従わない自治体を裁判所に提訴できるようになる。住基ネットから離脱している国立市や矢祭町は、その最初のケースになると考えられているからだ。 元システムエンジニアで、上原公子前市長(61)の革新市政を引き継ぐ形で初当選した関口市長は「共通番号制度が導