あなたの嘘(うそ)など聞きあきた。あなたの涙はもうあきた。あなたの夢など聞きあきた――。男に見下されてきた女は、そんな捨てぜりふを吐いて、いつか逆襲する。男女平等なんて言いぐさが空しく思えた時、彼女はなにをしでかすか。 ■リブロ池袋本店・矢部潤子さんに聞く (1)紙の月 [著]角田光代 (2)プラダを着た悪魔 [著]ローレン・ワイズバーガー (3)ビジネス・ゲーム [著]ベティ・L・ハラガン (4)女の平和 [著]アリストパネース [訳]高津春繁 ■男は結局、刃向かえない 人妻は国外逃亡をくわだてた。 銀行の支店の契約社員で外回りの営業を任されていた彼女は、顧客から集めた約1億円もの金に手をつけたのである。彼女にはしかし、心をただれさせる罪悪感はひとかけらもない。見失っていた本来の居どころをとり戻したような高揚感に突き動かされていた。 (1)『紙の月』は、理不尽なのに共感を引きよせてしまう