一進一退を繰り返す欧州経済の情勢。ギリシャに続き、債務危機に揺れるスペインの経済状況は深刻だ。長年、一時雇いで働いてきた未熟練の若年層を中心とする25%もの高い失業率、終身雇用と一時雇用の労働者の「格差」、弱い産業基盤、少子化で縮む国内市場、続々と海外に出て行く大企業…。ユーロ危機という固有の金融情勢下で財政赤字を抱えているが、構造的には日本に似た社会問題も抱えている。ユーロ参入後のスペイン経済の実情とはどんなものか、危機から立ち直る力はあるのか。スペイン人の気鋭の経済学者、サルバドール・オルティゲイラ、スペイン・カルロスIII世大学教授に話を聞いた。(聞き手は広野彩子) スペインでは債務危機がくすぶり続けています。スペイン国家統計局が発表した4月~6月の失業率は24.63%と1976年以来で最悪となり、深刻です。しかも経済を再生させようとしても、スペインには強い産業が見あたらないように思