僕は氷菓の肌理細やかな描写が好きだ。その細かい描写は、氷菓に限らず京アニ作品全般に云えることだが、氷菓はどの作品よりも一歩前に進んでいるように思える。 僕の印象として氷菓は地味目の物語に思える。突拍子もないことが起きるわけじゃないし、派手なアクションがあるわでもない。でも、楽しんで観れるのは、登場人物たちの一つ一つ丁寧に描写された芝居の数々があるおかげだと思う。 特に第5話「歴史ある古典部の真実」の描写が好きだ。 脚本/賀東招二、コンテ・演出/三好一郎、作画監督/堀口悠紀子。 第5話冒頭、折木奉太郎と福部里志は雨の中、自転車を押して自宅に帰る。ここで、一台の軽トラックが向かってきて、それを避けるため折木たちは自転車を押すのを止めて道路端に寄り、立ち止まる。そして、彼らはその場で話を続ける。これらの描写は、原作にはない描写だ。原作で軽トラックは登場しない。 なぜ、ここで軽トラックが登場したの