※今回の創作「風を見た日」は原稿用紙換算で30枚くらい、文字数だけを数えると1万1千字ほどです。1記事あたりの分量としては多い気がしますので、区切りが良いよさそうなところで分けて、4回連載という形で掲載することにしました。分割することで、読みづらくなることがあるかと思いますが、よろしくお願いします。 今回は第三回目です。 第一回目です。 第二回目です。 風を見た日(第3回) 引っ越しの作業にやってきたのは、三人組の若い男たちだった。一人が指示を出し、手際よく仕事が進められていった。部屋の養生を終え、荷物が運ばれ始めた。咲子の荷物を詰めた段ボール箱には、「実家へ」と書いている。それらを先に咲子の実家に運び、それを済ませてから私の引っ越し先の街へ向かう予定になっていた。 彼女の荷物をすべて両親に返し、仏壇の彼女にお線香をあげ、それを区切りにする、そう決めていた。 三十一回目からはもういいよ。