ニレちゃんは目薬がさせない ニレちゃんは目薬が自分でさせない。 そのため目が痛くなると「しずえ、目に薬入れて…」という依頼を私が受けることになる。 「目に薬入れる」ってなんか変な状況を想像しちゃうのだけど(経口薬を目にねじ込むような)、意味は十分伝わっているのでとりあえず目薬を探してきてあげる。 「あったよ〜」と戻ってくると、ニレちゃんは神妙な面持ちで手を組み、ソファに横たわって待っている。まるで今から開腹手術でも受けるような緊張感。 私が目薬のふたを開けて右手に構える。 彼の身体はこわばり、こぶしがギュッと握られ、目もぎゅっと瞑られた状態で、「はい、今いまいまいま!」と催促される。 どこが「今」なのか全然分からない。殴る蹴るの暴行を受けているようなガードの固さだ。 仕方がないので痛いという方の目を左手でこじ開け、右手で目薬を入れようとする。そこでなぜか口がパッカリ開いて、喉の奥まで見せつ
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