早稲田大学の大学院で指導教授からハラスメントを受けて、当該教授と大学当局を訴えていた深沢レナさんから裁判闘争への支援を求められて、一文を寄稿した。もうだいぶ前のことで、去年の7月に書いたものである。その裁判が先日地裁判決が下って、元教授と大学当局に罰金刑が課された。控訴するつもりはなさそうなのでこれで裁判は終わるのだろうと思う。でも、これは金を払って頭を下げれば済むという話ではない。もっと奥の深い話である。 教育の場におけるハラスメントはまことに扱いの難しいものである。というのは師弟関係というのは対等の市民と市民がとりむすぶ「社会契約」ではないからである。そこにはある種の絶対的な非対称性がある。それが師弟関係の生命線なのである。そのことを理解していないと、師弟関係で起きるハラスメントの本質はわからない。 繰り返すが、師弟関係は社会契約ではない。教わる側が「これこれの代価を払うので、これこれ