成功したあの人は、どんな本を読んでいるのか──取材でしばしば、経営者に自身の読書について語ってもらうことがある。すると、見事にビジネス書を「読む派」と「読まない派」のどっちかに分かれる。「読まない派」のざっくりとした言い分は、過去のケースをなぞっても仕方ない、他人の成功譚は必ずしも現在の自分の状況に当てはまるとは限らない、というものだ。 本書は、ビジネス書を「読まない派」によるビジネス書であり、「ビジネス書を読まない人間ならでは」のビジネス論が展開されている。 著者は、翻訳会社の起ちあげから始まり、シリコンバレーで企業支援会社(インキュベーションカンパニー)を起こし、現在はビジネスカフェジャパンやリナックスカフェの設立者にして社長という、ゴリゴリのビジネス畑の人だ。一部で、現代思想の語り部・内田樹氏の幼なじみとしても知られている(なお本書の巻末には、内田氏と著者の共著『東京ファイティングキ