(16日、男子テニスATPワールドツアー・ファイナル) ジョコビッチの3連覇は拍子抜けだった。「45年間の大会の歴史でこんな形の優勝は初めてだから、違和感はある」と本人も満面の笑みは出なかった。 フェデラーとの「頂上対決」が幻となり、落胆する大観衆を救ったのが、地元のマリー(英)だった。ツアー・ファイナルは1次リーグで敗退し、シーズンオフに突入したばかり。この日は自宅のソファで任天堂の人気テレビゲーム「マリオカート」を満喫している最中、電話でエキシビションマッチの打診を受けた。緊急事態に快諾し、急きょ駆けつけてジョコビッチの相手を務めた。 5―8で敗れた試合後のあいさつで、「ゲームは勝っていたんだ。テニスより上手だから」とマリー。冗舌ではないが、素朴な人柄がにじむあいさつに、ほぼ満員の会場は笑いに包まれた。(稲垣康介)