七階を撤去する。廃墟を新築する。図書館に野性がある。蔵に意識がある。ちょっと不思議な建物をめぐる奇妙な事件たち。現実と非現実が同居する4編収録の最新作。 出だしがコントのような不条理な設定だったりするのです。たとえば「七階闘争」。町で起こる事件がマンションの7階で発生することが多いため、市議会で「7階を撤去する」ことに決定されてしまう。7階に住んでる主人公は当然困惑する。7階を撤去しても、8階がそのまま7階になるんじゃないの?会社の同僚(女子)に誘われて反対運動に参加すると、7階の歴史をこんこんと説明され(古来、最初の7階は地上にあったのです!とか)、完成間近のマンションに忍び込んで階数表示をすべて7階にするテロ行為を行ったりする。 もうこう書くと爆笑短編集みたいな感じになるのだけど、いやいやどうして、終わりのほうはすごいしんみりするのだ。真顔で冗談を言っている人に最初は笑いながら、だんだ
祇園祭宵山の京都。熱気あふれる祭りの夜には、現実と妖しの世界が入り乱れ、気をつけないと「大切な人」を失ってしまう―。幼い姉妹、ヘタレ大学生達、怪しげな骨董屋、失踪事件に巻き込まれた過去をもつ叔父と姪。様々な事情と思惑を抱え、人々は宵山へと迷い込んでいくが…!?くるくるとまわり続けるこの夜を抜け出すことは、できるのか。
サクリファイス【sacrifice】— いけにえ、犠牲。 自転車のロードレースがこの作品の舞台。この本を読むまで知らなかったんですが、実はかなり奥が深い競技なんですな。自転車ロードレースは団体競技であり、「エース」と「アシスト」という役割が存在するとのこと。 アシストはエースが勝つための駒として働くのが仕事。エースの先を走ることでエースにかかる空気抵抗を減らしたり、集団から飛び出して全体のペースを乱したり、エースの自転車がパンクした時は自分の自転車の車輪を提供したりする。駆け引きの中に身を投じ、目まぐるしく変わる状況の中で活路を見出すスポーツなのだった。 この物語の主人公は「アシスト」の白石誓。勝つことに意味が見出せず、アシストとしての役割に徹するつもりであった白石。しかし、その実力やレースでの経験から、自分のために走ることを意識し始める。気になるのはチーム内のエース・石尾。彼は自分以外の
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