複雑な暗号の解読や高度な科学技術計算を瞬時にこなす未来のコンピューターとして期待される「量子コンピューター」。米IBMの研究部門であるIBMリサーチが、その実現に一歩近づく研究成果を4月29日付のオンライン科学誌ネイチャーコミュニケーションズに発表した。計算中に起こりうる2種類の量子力学的なエラーのうち、これまで1種類しか検出できなかったのを、2種類とも同時に検出できることを世界で初めて実証したのだという。ただ、エラー修正の手法はまだこれから。一方で米グーグルは、初の量子エラー修正の仕組みを3月4日付のネイチャー誌で報告したほか、米マイクロソフトもこの分野の研究に力を入れている。未来技術である量子コンピューターをめぐり、IT大手によるつばぜり合いが激しくなってきた。 量子コンピューターとは量子力学での「重ね合わせ」という特性にもとづき、1と0の情報量が重ね合わさった状態を利用して並列処理を