日米に限らず、すべての人の平等を目標とする「ポリティカル・コレクトネス」を敵視する人は少なくない。自分が住んでいる社会でマジョリティの立場にいる人は、マジョリティとして看過されてきた言動が制限されることに不快感や恐れを感じるのだろう。「自分には無関係のことだ」と思っている人もいるだろう。しかし、ポリティカル・コレクトネスは、それらの人々が想像していない場所で、それらの人々の文化や生活を豊かにしているのだ。 たとえば、アメリカの出版業界も、最近の社会の動向を反映して、黒人作家の作品が売れるようになり、海外からの翻訳文学への評価も高くなっている。何よりも、それらを特別視せずに、英語で書かれた作品と同等に扱い、好んで読む読者が増えているのを感じる。日本人作家の作品もそのひとつだ。私が若かった頃でも日本人作家の翻訳作品は海外で読まれていた。だが、そこには「異国への物珍しさ」が中心で、英語で書かれた
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