池上彰です。2016年10月末、中米のパナマに取材に来ました。 パナマといえば、「日経ビジネス」の読者の皆さんがすぐに連想するのは、そう「パナマ文書」ですね。パナマのモサック・フォンセカ法律事務所がカリブ海諸国をタックスヘイブン(租税回避地)として利用した世界中の企業と個人の機密文書。その内容が2016年4月に白日の元に晒されて大ニュースになりました。こちらがパナマ文書の出元であるモサック・フォンセカ事務所の入ったビルです。 これから、さらなる機密文書を発見しに、はるばる日本から地球の反対側にあるパナマへ……。では、ありません。今回、私が取材したのは、パナマの基幹インフラであるこちら、「パナマ運河」です。 1904年、アメリカ合衆国の手によって、南北アメリカ大陸の結び目にあたるパナマで運河を掘り進め、1914年に太平洋と大西洋を結ぶ航路が完成しました。以来、パナマ運河は現在に至るまで世界で