まずは,3種類の記録メディアに対して,四つのパターンで水没させ,データを破壊できるか検証した(図3)。水を満たした二つの洗面器に,記録メディアを1分間もしくは60分間水没させる。洗面器の片方は水道水,もう片方は飽和食塩水である。 水没させた場合,水に含まれるカルシウムやカリウム,ナトリウムなどのミネラルが記録メディアにダメージを与える。テープ・カートリッジの場合には,ミネラルがテープに付着し,それが乾いて固着すると,テープの摩擦係数が上がる。その結果,テープと接触するドライブのヘッドが傷付き,データの読み出しが困難になる。 水道水に1分間水没させたパターンでは,引き上げてからすぐにデータ復旧に着手した(実験A)。一方,60分間水没させたパターンでは,引き上げてから24時間放置した後にデータ復旧に着手した(実験B)。前者は記録メディアが水に耐性を持つのかを知るための,後者はミネラルなど不純物