中野書店の中野智之さんが十二月十七日に亡くなられたという報せが届いた。肺がんのため。享年六十。五月頃までは特に変った様子もないように見えたそうだが、七月にはもう店にも姿を見せなかったという。 アンダーグラウンド・ブックカフェのときには大変お世話になった。中野さんのご自宅は荻窪の北にあり「そらの下」と呼ぶ複合施設だった。「古本倶楽部」と劇場と自宅を兼ね備えていた。中野さん自身、長身でハンサム、とても古本屋のおやじには見えなかったのだが、奥方も美しく気さくで、お二人ともに演劇に情熱を燃やしておられたのが、傍目にも羨ましいくらいだった。 その頃だったろうが、さぼうるという喫茶店で中野さんと、八木福次郎さんもおられ、もう一人長老の方がおられ、業界の話をしていた場に同席したことがあった。たまたま『東京古書組合五十年史』に話が及び、新版を出したらどうかと長老の方がおっしゃって「中野くんあたりが率先して
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