従来いわゆる「偽史」はトンデモ扱いされて言及する者は好事家などに限られていたが、近年立教大学で偽史に関するシンポジウムが開催され、小澤実編『近代日本の偽史言説』(勉誠出版、平成29年11月)として刊行されるなど、アカデミックな研究者も参入してきた。私の好きな藤澤親雄についても、様々な観点から研究者が言及するようになってきた。國學院大學研究開発推進センター編・阪本是丸責任編集『昭和前期の神道と社会』(弘文堂、平成28年2月)所収の上西亘「藤澤親雄の国体論ーー戦前期を中心にーー」もその一例である。上西氏の肩書は、國學院大學研究開発推進機構助教である。一時期私も藤澤を追いかけていて、アンテナを張っていたが、最近は関心も薄れ、本論文に気付いたのも偶然であった。この論文が出発点にしたという、藤澤が「「理論的学問的根拠」のために古事記はもとより、内外の「超古代文献(偽書)」は動員されなければならなかつ