はじめに 前回まで、古い調べ方の本を紹介した。調べのハウツー本である。今回は、実際に特定のことを調べる道具になる本、調べの道具本である。英語でレファレンス・ツール、中国語で「工具書」と呼ばれるものだ。 市井の人物を調査する――ファミリーヒストリーなどに 趣味でも、仕事でも、人物情報を調べたいと思うことは結構ある。人物を調べる場合には、超有名人、限定的有名人、無名人の3つに区分して調べると効率がよいことは、ネットでも指摘されている通り。そこで前2者、つまりそれなりに有名人なった人を調べるにはそれなりの手があるのだが、まったくの無名人というか、市井の人を調べるのは難しい。1980年代まで戸籍が閲覧できたが、これは現在、法曹や直系の子孫に閲覧が限られている。 一方でファミリーヒストリーが流行って、無名の人、市井の人を調べるニーズが掘り起こされている。一介の市井人を調べるツール、それも公刊されたも