これまで日本にはたくさんのクルマが生まれては消えていった。そのなかには、「珍車」などと呼ばれ、現代でも面白おかしく語られているモデルもある。しかし、それらのクルマが試金石となったことで、数々の名車が生まれたと言っても過言ではない。 当連載では、これら「珍車」と呼ばれた伝説のクルマや技術などをピックアップし、その特徴を解説しつつ、日本の自動車文化を豊かにしてくれたことへの感謝と「愛」を語っていく。今回は、1990年代に華々しく登場したトヨタのスペシャルティクーペ、セラについて紹介していこう。 文/フォッケウルフ、写真/トヨタ ■ショーカーそのままに市販化された超個性派コンパクト 1987年、晴海で行われていた第27回東京モーターショーのトヨタブースで、小型のスペシャルティカーのコンセプトモデルが披露された。 「AXV-II」と名乗ったそのクルマは、フロントからルーフ一体のドアガラスとし、リア