世界の種苗業界はいま、大きな2つの波にさらされている。1つは遺伝子技術の発展によるGM作物の本格化、もう1つはこの技術で市場シェアを急拡大させたバイオメジャーが仕掛ける中堅・中小メーカーへの買収攻勢だ。 台風の目となっているのが、米国資本のモンサント。もともとは化学メーカーだったが、農薬分野へと領域を広げ、さらに環境規制の強化を受けてバイオテクノロジー企業へと変身した。 1990年代半ばには、自社の除草剤「ラウンドアップ」とその除草剤に強い抵抗力をもつGM作物「ラウンドアップ・レディー」を組み合わせて売り出すことに成功し、種苗メーカーの最大手に躍り出た。 農薬を散布してもGM作物は耐性があるので生き残る結果、周囲の雑草だけを退治できる。 米国やアルゼンチンなどで大規模農場を経営する農家がこぞって飛びつき、同じ化学・農薬メーカーの一部門として発展したシンジェンタや、デュポンの子会社パイオニア