「あと2時間もある。どうしよう。引き上げるわけにも行かないし……」 松山英樹はそう言って、深い溜め息をついた。 昨年、米ツアー初優勝を飾ったメモリアル・トーナメント。その舞台となるオハイオ州ダブリンのミュアフィールドビレッジに、今年はディフェンディングチャンピオンとしてやってきた。だが開幕を翌日に控えた水曜日の昼下がり、彼は練習グリーン脇のベンチに力なく座り込み、うつろな目をしてうなだれていた。 「調子悪すぎて、元気ないっすよ」 2週間のオフを経て臨もうとしていた同大会。「オフ」とはいえ、試合に出ていなかったというだけで、クラブを握らなかったわけではなかった。「練習はしていたんで、リフレッシュという感じではない」と。 連覇に向けて、しっかり準備をしてきたはずだった。 「こっちに来てから感覚がない。フェアウェイには打っているんだけど、フェアウェイからが……。練習はしていたんだけど、調子が悪す