ティオフする前、松山英樹はサングラスを拭く。ルーティンの積み重ねが、彼の「フツウのゴルフ」を支えているのだろうか。 フェニックスオープン史上6人目となる大会連覇と、日本人最多となる米ツアー4勝目の偉業をかけて挑んだ最終日。 そんな特別な日だというのに、スタート直前の松山英樹は1番ティで一生懸命、サングラスを拭いていた。 次に彼が行なったこと。それは足のストレッチだった。右足、そして左足をゆっくり優しく伸ばすその姿は、気負いも気後れも感じさせない、いつも通りの普通の松山だった。 そう言えば、この週の松山は初日から妙に「フツウ」を強調していた。それは、偉業達成に寄せられるプレッシャーに押しつぶされないよう、あえて自分自身に言い聞かせているのか。それとも総勢60万人超の大観衆に翻弄されないよう、あらかじめ予防線を張っているのか。 彼が言う「フツウ」とは何を意味するのだろう。 「フツウ」は彼が目指