東京の典型的な下町として知られてきた台東区蔵前・浅草橋界隈が、「日用品のまち」として脚光を浴びるようになったのは、10年ほど前から。 洒落た生活道具の店や文具店が個性的な日用品を扱い、路地裏や雑居ビルにはデザイナーやカメラマンがアトリエを構える。並びの町工場からは、トントン、ガッシュガッシュと、ものづくりを支える機械の音が聞こえてくる。 ターニングポイントのひとつに「台東デザイナーズビレッジ」の誕生があり、そこから派生したイベント「モノマチ」が町全体に活気を与えたことは、前編で紹介したとおり。けれども契機はそれに限らず、多くの作り手たちが時を同じくして偶発的にこの場所に集まってきたことも大きなきっかけとなっている。彼らは誰かに誘われたわけでもなく、このまちにやってきて、自身の営みの拠点を据えた。 まちに惹かれた理由は千差万別。そこから派生して、彼らはおのおのの仕事を介して、地域の人々と関わ
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