「大きな成果だが、従来の延長線上だと思っている。汎用的なコンピューターとして使えるようになるまでにはまだまだ時間がかかる」。量子コンピューターが既存のコンピューターでは達成できない計算能力を示す「量子超越」を実証したと米グーグルが発表したのを受けて、富士通の100%子会社で研究開発を担う富士通研究所(川崎市)の原裕貴社長はこう語った。 10月25日、研究開発戦略や研究成果の発表会を開いた富士通研究所。スーパーコンピューター「京」「富岳」などを手掛けるなどコンピューターを主力事業の一つとしてきた富士通にとって、量子コンピューターの到来は気がかりな問題だ。量子コンピューター関連の研究の状況について問われた原氏は、「こういう質問があると思っていた」と笑い、「グーグルが53量子ビットまで動かしたのは大きな成果だ」と評価した。ただし、乱数の発生という特別な問題に限定した結果であり、従来の研究成果の枠