「株価って何」(内田樹の研究室)という記事に紹介された抗議のメールは教訓的だった。たしかに事実は「貴殿がなぜ私の研究分野に土足で踏み込んできて、このようなガセネタをバラ撒いていくのか理解に苦しむのですが」と書く、やせた土地をゆいいつの領土として守る、さみしい研究者のためにあるのだろう。しかし土足で踏みにじられたときに真理が発動したのである。ガセネタと対決した瞬間に、それまでただの収集した歴史的事実にすぎなかったものが真実として輝きはじめたのだ。 真は侵犯が支えるということだろうか。それどころではなく、真理は侵犯が作り出すのであり、その運動こそが真理の作為ではないだろうか。動くこと、自分で自分の領土を否定すること。後期マルクスによる前期マルクスへの侵犯、後期フロイトによる前期フロイトへの侵犯こそが(尤も、最も真理に近いものと敵対しようとしたら過去の自分だったというわけだが)、真理の生成劇だっ