人間はどこから来て、どこへ行くのか。間違いなく、これが、人間の永遠の問いの1つであろう。「僕たちの体は、星のかけらから出来ている」、そう教わった時の腹落ち感は半端なものではなかった。だからこそ、僕たちは宇宙論が大好きなのだろう。誰しも僕たちの体を形作っている物質がどこから来たのか、その始源の物語を突き詰めて聴いてみたいのだ。本書は碩学の手による理代宇宙論の優れた格好の案内書である。 なぜ「宇宙論と神」というタイトルを付けたのか。その答えは第1章で明かされる。「神と宇宙は相性がよい」からだ。「どちらも遠く離れていて直接捉えることができず、想像する中で肉薄するしかない点で共通しているからだ」。なるほど。著者は時系列で人間の宇宙観の変遷を辿っていく。世界創成神話(第2章)、中国・日本・インドの宇宙観(第3章)、古代ギリシャの宇宙観(第4章、ここで早くも天動説と地動説が現われる)、アラビアの宇宙観