著名ミュージシャンのマドンナは、その戦略で一歩先を行っている。彼女は昨年、長年つきあってきたメジャーレーベルのワーナーミュージックとの契約を終了させ、ライブコンサートを手がけているイベント会社と再契約したのだ。これはアンビエント化して収益力の低下した音楽空間で収益化するのではなく、ミュージシャンとファンがリアル空間の中で出会うコンサートという場に収益の中心を移していこうという動きである。ライブの入場料や写真集、Tシャツなどのグッズ類など、ネットワーク化された環境としての音楽ではなく、リアルな場としての音楽こそが収益の源泉となってきているのだ。 おそらくこうした方向性は、いずれ書籍の世界にもやってくる。音楽がiTunesの独占支配によってアンビエント化とソーシャル化に二分されてきているように、書籍も来年から推し進められるであろう電子書籍化によって、同じような二分化が始まる。読書空間の多くの部