ヒルドイドソフトという塗り薬がある。主成分はヘパリン類似物質であり,効能書きを見ると「保湿効果による皮膚乾燥症状の軽減。塗布部位の血行促進」とあり,皮脂欠乏症,角化症、凍瘡(しもやけ)、ケロイドなどが適応疾患としてあげられている。しかし以前からこの薬は本当に保湿効果があるのか,本当に乾燥肌の治療効果があるのか疑問なのである。 まず,ヒルドイドソフトの成分を詳しく見てみると「ヘパリン類似物質,グリセリン,流動パラフィン,白色ワセリン,サラシミツロウ,グリセリン脂肪酸エステル」とある。 ヘパリン類似物質というのは何かというと,「構造式がヘパリンと似ている物質」の総称であり,これについては金沢大学のサイトが一番よくまとまっている。要するに,ムコ多糖の多硫酸化エステル,すなわち「D-グルクロン酸とN-アセチル-D-ガラクトサミンからなる二糖を反復単位とする多糖体をSO3-で多硫酸化したもの」とのこ