わたしが早朝の決意をこめて「選択肢を百倍に増やしたい」と呟いたところ、ロボット倫理がどうとか言ってる学友に「2択を7個設ければいける」と、じつに建設的な助言をもらった。メトロに乗って九時半の退屈へと出勤中のわたしは朝の四月病から我にかえってニヤリとした。(四月病のようなもので、だいたい天気がいい日の元気な決断は無意味なきがする) その学友はわたしが大学二年生の時に知り合った同級生で、たぶん五年来の友人ということになるんだけど、あいつはまだ大学三年生。時間の体感が三倍くらい違うみたい。こないだ哲学科に進んだそうで、ベルクソンがどうとか言ってた。「生の哲学」という、人間の理性に対する生の優位を説く潮流があるんだけど、ベルクソンの思想はその流れを汲んでいるとされることもあって、そんなベルクソンが彼の関心を引いたのも頷けるはなしだ。なぜならあいつは、哲学科に進学する前から、ロボット倫理学がどうとか
![そのくせわたしたちは、フィルムの味を有り難がったり、涙の理由を分からながったりする|keredomo_](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/1ba345306b8d5a4abfb34e50cba3aa9dd7ac700a/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fassets.st-note.com%2Fproduction%2Fuploads%2Fimages%2F2860484%2Fprofile_315f9d40db163060a2591f812c2c2a9f.jpg%3Ffit%3Dbounds%26format%3Djpeg%26quality%3D85%26width%3D330)