インド、中国とは異なる皇位継承 南北朝時代に南朝側の思想家・北畠親房(1293~1354年)によって書かれた『神皇正統記』(1339年頃に執筆と推定)は、日本国家と日本人の特徴について知るための優れたテキストだ。 2015年に今谷明氏による優れた現代語訳が新人物文庫から上梓されたので、古文が得意でないビジネスパーソンでも苦労することなくこの名著を読むことができる。 「大日本者神國也(おおやまとはかみのくになり)」というのが、親房による日本の定義であるが、これは日本が他国よりも優越しているという排外主義的言説ではない。日本の特徴は神道を原理とする皇統が続いているという意味だ。 〈大日本は神国である。天祖の国常立尊が初めてわが国の「基」を開かれ、日神である天照大神が長くその統を伝えなされた。これは、わが国だけのことであって、「異朝」(中国・朝鮮・インド)にその類はない。そのゆえに、わが国を神国