世界中の人に愛されている紅茶のブランド「リプトン」。だが、その創業者であるトーマス・リプトンが成し遂げた数々の偉業と、人となりを知る人は意外に少ないだろう。ヴィクトリア女王より「Knight(騎士)」の称号を受けた彼は、現在のビジネスではスタンダートになっている様々なイノベーションを実現した。その実績と、ユニークなパーソナリティをひもとけば、リプトンの紅茶の奥深い哲学と、極上の味をさらに実感できる。 ビジネスにおける"あの常識"も 実は彼がパイオニアだった! 1850年、スコットランドの中心都市グラスゴーに生まれたトーマス・リプトン。生家は小さな食料品店だった。1871年、ちょうど21歳の誕生日に彼は自分の店を開く。取り扱うものは父の店と同じ、チーズやハム、卵などの食料品。リプトンが紅茶事業へと参入したのは1889年、39歳の時だった。相場の半額程度で上質な紅茶を提供し、事業は大成功を収め