卒業式での君が代斉唱時の不起立を理由に、東京都教委が定年後の再雇用を拒否したのは「思想や良心の自由」を保障した憲法に違反するとして都に賠償を求めていた訴訟について、30日最高裁判決が下った。 「校長の教職員に対する起立斉唱命令は合憲」とする判断を下し、原告の上告を棄却した。 判決は「起立斉唱行為は卒業式などの式典での慣例上の儀礼的な性質を有し、個人の歴史観や世界観を否定するものではない」とした。 しかし、起立斉唱行為は教員の日常業務には含まれず、かつ「思想と良心に間接的制約となる面がある」と留保を加え、「命令の目的や内容、制約の様態を総合的に考慮し、必要性と合理性があるかどうかで判断すべき」との判断基準を示した。 今回の判決では、公務員は職務命令に従うべき地位にあるということを根拠に、「間接的制約が許される必要性や合理性がある」と判断して、教委による処分を違憲とした東京地裁判決を取り消した