『爆弾』呉 勝浩 (著)講談社文庫あらすじ酒屋の店員を殴ったとして取調室に連れて来られた男、自称スズキタゴサク、四十九歳。 ぱっとしない風体のこの男は霊感で事件を予告できるかも、と発言します。 「十時ぴったり、秋葉原のほうで、きっと何かありますよ」という鈴木の言葉どおりその時間に秋葉原で爆発事件が発生。 爆発は三度続くというスズキに対し、警視庁特殊犯係の類家は情報を引き出すべく知能戦を仕掛ける。 冴えない男 スズキタゴサクの正体とはスズキの指紋はデータベースにはなく、財布はからっぽ、住所は忘れた、の一点張り。 現場となったのは秋葉原の空きビルの三階の部屋で、負傷者は出たものの幸いなことに命に別状はありませんでした。 爆弾はガスを使った自家製で周囲に不審な人物の目撃情報もなし。 スズキから発せられる言葉だけが事件発生の糸口となるのです。 等々力刑事はスズキが爆弾を仕込んだ犯人である可能性を頭