2011年12月01日10:49 カテゴリ本 法は復讐のためのコミットメント装置 日本では、経済学者と法学者の話は噛み合わないことが多い。経済学者が英米系の新古典派の影響を受けているのに対して、法律家は日弁連のようなゴリゴリの実定法主義(legal positivism)で法解釈学に終始し、市場経済を無視した「正義」を主張することが多いからだ。著者リチャード・ポズナーはおそらく世界でもっとも影響力のある法律家だが、日本ではほとんど知られていない。彼の代表するコモンローの伝統が日本にはないためだ。「法と文学」というのは奇妙な組み合わせにみえるかもしれないが、これは「実定法の条文を金科玉条とするのではなく、それを一種の文学と考えて、その背後にある意図を読み取る」という意味である。 たとえば著者は、オリバー・ウェンデル・ホームズにならって、法の起源は復讐にあるという。社会のルールに違反した者に復