地球は水の惑星。いっぱいある水を資源としていかに利用するかは人類の永遠の課題である。その課題の解決に一歩近づく成果が出た。植物の光合成による水分解の仕組みを参考に、中性の水を分解して電子を取り出す「人工マンガン触媒」の開発に、理化学研究所環境資源科学研究センターの中村龍平チームリーダーと山口晃(あきら)大学院生リサーチ・アソシエイト、東京大学大学院工学系研究科の橋本和仁教授らが成功した。触媒による効率的な水分解の可能性を示す研究として注目される。6月30日付の英オンライン科学誌ネイチャーコミュニケーションズに発表した。 水分子は自然界に最も豊富に存在する電子源の1つで、水素や有機燃料の製造を担う重要な化学資源になる。自然界では、植物などがマンガンを含む酵素で水から電子を獲得し、その電子を用いて、光合成で二酸化炭素から炭水化物を作り出している。植物の水を分解する酵素の構造をまねて、水から電子