2007年5月、中国で初めて日本アニメの海賊版を購入し、つぎつぎと再生してチェックしていたとき、おもしろいことに気がついた。 中国で流通している日本アニメの海賊版ソフトは、日本のテレビ放送やパッケージソフトをそのままコピーしたものだから、音声そのものは日本語のままである。そこで当然、画面に中国語の字幕がつく。海賊版とはいっても、字幕部分は業者たちがオリジナルで作らねばならない。 そのためには高度の語学力が要求されるはずだ。しかし、海賊版と聞くと、ふつう連想するのはマフィアか暴力団組織。そういった組織に語学力の高い者がいるとは思いにくい。となると、そこが日本語のわかるプロでも雇用しているのだろうかと想像してしまう。 しかし、ちがっていた。私は偶然とんでもない発見をしてしまったのである。 ある海賊版DVDを再生していたときのことだ。 私の目はパソコンの画面に釘付けになった。番組の冒頭に「字幕組