この問題はもう10年以上にわたって議論が続いていますが、学問的な論争は意外に行なわれていません。本格的な論争をまとめた記録としては『失われた10年の真因は何か』ぐらいですが、これはもう7年前の本で、理論もデータもかなり変化しています。ここでは最近の議論を少し紹介し、討論の素材を提供したいと思います。 専門家の間で意見が戦わされた最近のケースは、浜田宏一氏と深尾光洋氏の往復書簡ぐらいなので、その一部を引用します。まず浜田氏の日銀総裁への「公開書簡」についての深尾氏のコメント: 先生と勝間氏との本の公開レターなどを拝読しましたが、この運動には賛同できません。理由は以下のとおり:[・・・]勝間氏の呼びかけに書かれている「デフレも円高も政府と日銀が協調すればたちどころに終わらせることが出来ます。要するにモノに対してお金の量が不足しているわけですから、お金を刷って効率的に分配すればいいのです。ところ