「もう続けられない」。福島第1原発事故による放射能汚染で、岩手県内の露地栽培シイタケ産地がかつてない困難に直面している。放射性セシウムが国基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超過し出荷制限が続く県南部は生産継続を断念する動きがみられ、影響は深刻。県北部など出荷可能な地域も風評被害による価格下落に苦しむ。干しシイタケの県全体の生産量は激減しており、全国上位を誇った「岩手ブランド」は危機に瀕している。 国による出荷制限が続く一関市。旧西磐井地区の約80戸で組織するいわて南農協椎茸(しいたけ)生産部会の千葉孝夫部会長は昨春、約40年続け、シイタケ栽培に不可欠な植菌を見送った。 同地区は、稲作を主体にシイタケ生産する農家が多い。「今年も多くの人が植菌しないだろう。安全なものを作ることができ、正当な価格で販売できなければ次世代に引き継げない」と肩を落とす。 一方、出荷可能な県北などの干しシイ