子どもの頃、文鳥を飼っていた。とてもよく慣れて、私の掌から餌を食べ、肩や頭に止まって休んだ。ピヨと名付け時々部屋の中に放って遊ばせていたが、「ピヨ、ピヨ」と呼ぶとパタパタと飛んでくるのが可愛かった。 文鳥が自分の名前を認識していたとは思えない。犬や猫は飼い主に頻繁に名を呼ばれるうちに、その音の並びが自分と関係あることに気づくようだが、文鳥のあまりに小さな脳みそには、そこまでの認識能力は備わっていないだろう。ただ飼い主の声に反応していたか、餌をもらえると思っただけじゃないかと思う。 そもそも、犬にしろ猫にしろ鳥にしろ、人間以外のすべての動物は、自分が何であるかを知らない。 人間が、ワンワンと鳴きしっぽを振る動物には「犬」と名付け、ニャーニャーと鳴きよく眠る動物には「猫」と名付け、空を飛び卵を抱く動物には「鳥」と名付けたただけであって、犬も猫も鳥も、そのことをまったく知らない。 子どもの私には