サンフランシスコから車で2時間、灼熱の太陽が降り注ぐカリフォルニア州サクラメントの街道沿いにその店はあった。 タワーレコード1号店。世界で最も有名な音楽ソフトチェーン発祥の地は、何の変哲もないロードサイド店のたたずまいだった。 そのタワーレコードが2度目の破綻に追い込まれたのは、8月20日のこと。全米89店を運営するMTSが、巨額の債務負担に耐えきれず、連邦破産法11条の適用を申請した。 それでも1号店は、何事もなかったように営業を続けている。その様子は、タワーレコードの窮状を如実に物語っていた。 「ウォルマートにやられた」 広大な店内は不気味なほど活気がない。流れる音楽は、音量が絞られている。数少ない客は、高齢者が目立つ。しかも、何も買わずに立ち去っていく。ある老人は、「近くの店に食事に来たから、ちょっと入ってみただけ」だという。10代の少年は、友達との待ち合わせの時間潰しに来ていた。
![タワーレコード、消えた輝き:日経ビジネスオンライン](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/05f492a9ba706b05ca8fd61b1840b099fb59fdc9/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fbusiness.nikkeibp.co.jp%2Fimages%2Fn%2Fnbo%2F2011%2Fcommon%2Fnbologo_ogimage.png)