出版状況クロニクル41(2011年9月1日〜9月30日) 東日本大震災に続く、かつてない台風の被害に伴い、「深層崩壊」というタームが語られるようになってきている。これはあらためていうまでもないかもしれないが、台風による山崩れや崖崩れにおいて、滑り面が深部で発生し、表土層だけでなく、深層の地盤までが崩れてしまう、規模の大きな崩壊現象を意味している。それは降水量が400ミリを超えると発生しやすいとされる。 この「深層崩壊」というタームは台風災害のみならず、出版業界の現在にもそのまま当てはまるものではないだろうか。失われた十数年の果てに、戦後の再販委託制による出版社・取次・書店という近代出版流通システムは「深層崩壊」的状況にあり、8000億円の売上を失う危機へと追いやられてしまった。 その「深層崩壊」をもたらした原因について、本クロニクルで詳細に言及してきたが、それは依然として食い止められず、現