二宮清純レポート 勝負の厳しさを誰よりも知る男 森脇浩司 オリックス監督「人生は微差が大差を生む」それに気づいたから、いまの自分がある 現役時代から、決して目立つ男ではなかった。彼のもとに飛んだ打球は、自然とアウトになってしまう。本塁打より圧倒的に犠打の数の方が多かった。そして今、気づけば監督になっている。「変わることは義務だ」—ブレない男の信念を読む。 変化を恐れてはいけない この10年で8人もトップが入れ替わった。日本の政治の話ではない。プロ野球のオリックスのことだ。その間、最下位5回。Aクラスは2008年のわずか1回だけ。'12年も優勝した北海道日本ハムとは17・5ゲーム差の最下位だった。 落ちるところまで落ちたチームの再建を誰に託すか。球団が指名したのは前チーフ野手兼内野守備走塁コーチで、岡田彰布監督の解任後、監督代行を務めた森脇浩司だった。指揮を執った9試合で7勝2敗と大きく勝ち